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2026.08.03
お口の健康
フッ素入り歯みがき剤の効果的な使い方

フッ化物が世界中で広く利用されているのは、「長年使われてきたから」だけではありません。

世界各国で行われた多くの研究を総合すると、フッ化物にはむし歯を予防する効果があることが一貫して示されています。

このため現在では、我が国では厚生労働省や日本口腔衛生学会をはじめ、多くの国や専門機関が、フッ化物応用を科学的根拠(エビデンス)に基づくむし歯予防法として推奨しています。

フッ化物の効果を十分に発揮するためには、毎日継続して使用することが大切です。

一方、日本では、水道水へのフッ化物添加やフッ化物錠剤の服用は一般的ではありません。そのため、毎日使用できるフッ素入り歯みがき剤やフッ素洗口が、身近で実践しやすい予防方法となっています。

ここでは、もっとも多くの方が毎日使用しているフッ素入り歯みがき剤についてご紹介します。

年齢に合った濃度と使用量

フッ素入り歯みがき剤は、使用量が多いほど、口の中に残るフッ化物の量も増えることが報告されています。

現在、日本では次の使用方法が推奨されています。


研究では、約5mm(0.25g)の歯みがき剤を使用した場合と比べて、約2cm(1.0g)使用した場合は、歯みがき後の口の中のフッ化物濃度がおよそ3倍になることが示されています。

そのため、6歳以上では歯ブラシ全体(約1.5~2cm)の使用が推奨されています。

一方、小さなお子さんでは歯みがき剤を飲み込みやすいため、年齢に応じた使用量を守ることが大切です。少なくとも7歳頃までは、保護者の監視のもとで年齢に応じた量のフッ素入り歯みがき剤を使用し、歯みがきを行うことが勧められています。 誤飲を防ぐためにも、保護者が歯みがき剤の量を確認し、必要に応じて仕上げ磨きを行いましょう。

1日2回以上の使用が基本

フッ素入り歯みがき剤は、1日1回よりも2回使用したほうが、むし歯予防効果が高いことが報告されています。研究では、1日2回使用することで、1日1回と比べてむし歯予防効果が約14%高まることが示されています。

特に、**就寝前と、もう1回(朝食後など)**の使用が勧められています。就寝前に使用すると、12時間後でも口の中のフッ化物濃度が比較的高く保たれることが報告されており、睡眠中もフッ化物が作用しやすいと考えられています。

また、菓子職人やパティシエなど糖分に触れる機会が多い方や、むし歯になりやすい(カリエスリスクが高い)方では、1日3回以上の使用を勧めることがあります。

舌で確認してプラーク(歯垢)を落としましょう

歯みがきで最も大切なのは、歯の表面に付着したプラーク(歯垢)をブラッシングによって取り除くことです。

プラークは細菌のかたまりで、うがいだけでは十分に除去できません。歯ブラシを歯の表面や歯と歯ぐきの境目にしっかり当て、プラークを落とすことが、むし歯や歯周病の予防につながります。

歯みがき後は、舌で歯の表面を軽く触れてみましょう。

舌は非常に繊細な感覚をもつ器官で、歯の表面のわずかなザラつきも感じ取ることができます。毎日の歯みがき後のセルフチェックに活用してみましょう。

舌で歯の表面を触ってツルツルしていれば、プラーク(歯垢)が除去できている目安の一つです。反対に、ザラザラした感じが残る場合は、まだプラークが付着している可能性があります。その部分をもう一度丁寧に磨きましょう。

プラークを十分に除去した歯の表面には、フッ化物が直接作用しやすくなります。そのため、ブラッシングでプラークを除去した後は、フッ素入り歯みがき剤を歯全体にまんべんなく行き渡らせることが大切です。

2分程度磨く

次は、フッ素入り歯みがき剤を歯全体にまんべんなく行き渡らせることを意識しましょう。

フッ素入り歯みがき剤をつけて磨く時間が長いほど、歯の表面にフッ化物が行き渡りやすくなり、口の中に残るフッ化物の量も増えることが報告されています。そのため、フッ素入り歯みがき剤をつけて磨く時間は2分程度が推奨されています。

一方、実際の歯みがき時間は平均約45秒と報告されており、多くの方が十分な時間、フッ素入り歯みがき剤を使用できていない可能性があります。

大切なのは、歯ブラシにつけたフッ素入り歯みがき剤を、すべての歯にまんべんなく行き渡らせることです。歯ブラシに歯みがき剤が残ったまま終えるのではなく、歯の表面全体にフッ化物を届けるイメージで磨きましょう。

なお、フッ素入り歯みがき剤を使いながらプラークをしっかり除去できる方は、最初からフッ素入り歯みがき剤を使用して問題ありません。 一方、短時間で歯みがきを終えてしまう方や、歯みがき剤が歯ブラシに残ったままになりやすい方は、まずプラークを意識して除去し、その後、フッ素入り歯みがき剤を歯全体にまんべんなく行き渡らせることを意識するとよいでしょう。

この2分は、フッ素入り歯みがき剤の効果を高めるための目安です。歯周病予防や歯垢(プラーク)を十分に除去するために必要な歯みがき時間を示すものではありません。歯並びや歯周病の状態によっては、さらに時間をかけて丁寧に磨くことが必要です。

歯みがき後は歯みがき剤を吐き出す

歯みがき後は、口の中に残った余分な歯みがき剤を軽く吐き出しましょう。

特に小さなお子さんでは、フッ素入り歯みがき剤を不必要に飲み込まないようにすることが大切です。乳幼児では、保護者が歯みがき後の様子を見守り、必要に応じて口のまわりや口の中に残った歯みがき剤をガーゼ等で拭き取ってもよいでしょう。

なお、歯みがき剤をすべて洗い流す必要はありません。 むし歯予防のためには、余分な歯みがき剤を吐き出した後、少量の水ですすぐ程度が推奨されています。

歯みがき後のすすぎは少量の水

歯みがき後に何度も多量の水ですすぐと、せっかく歯の表面や口の中に残ったフッ化物が洗い流されてしまいます。

そのため、歯みがき後は余分な歯みがき剤を吐き出したあと、少量の水(約10〜15mL、ペットボトルのキャップ1〜2杯程度)で1回、約30秒間口の中に行き渡らせるようにすすぐことが推奨されています。少量の水ですすぐことで、口の中にフッ化物が長く残り、むし歯予防効果を高めることが期待できます。

すすぎ終わったら、そのまま吐き出して終了します。最後にもう一度水ですすぐ必要はありません。

大切なのは、多量の水で何度もすすがないことです。 この方法が合わない方は、無理をする必要はありません。ご自身が無理なく続けられる方法を選び、フッ素入り歯みがき剤を毎日継続して使用することが、むし歯予防では最も重要です。

より高い予防効果を期待する方法として、可能であれば歯みがき後は2時間程度飲食を控えると、口の中に残ったフッ化物がより長く作用することが期待できます。


【参考文献】

⑴ 日本口腔衛生学会,日本老年歯科医学会,日本小児歯科学会,日本歯科保存学会.
う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法(2023年版).
2023.

⑵ Marinho VCC, Higgins JPT, Logan S, Sheiham A.
Fluoride toothpastes for preventing dental caries in children and adolescents.
Cochrane Database Syst Rev.
2003;(1):CD002278.

⑶ Walsh T, Worthington HV, Glenny AM, et al.
Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries.
Cochrane Database Syst Rev.
2019;3:CD007868.

⑷ 日本口腔衛生学会.
フッ化物応用ガイドライン 第2版.
口腔保健協会;2017.

⑸ 厚生労働省.
フッ化物洗口ガイドライン.
2003.

⑹ American Academy of Pediatric Dentistry.
Policy on Use of Fluoride.
The Reference Manual of Pediatric Dentistry.
Latest edition.

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