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2026.03.23
お口の健康
口の機能低下は40代から|放置した場合の影響と予防のポイント

「口の機能が衰えるのは、高齢になってから」と思っていませんか。

しかし、口の乾燥や軽いむせ、噛みにくさなどの変化は、40代からみられることがあります。

こうした変化をそのままにすると、食べられるものが減り、栄養状態や全身の筋力、会話や外出の機会にも影響する可能性があります。

この記事では、口の機能低下がみられ始める年代、放置した場合に起こり得る変化、予防のためにできることを解説します。

口の機能低下は40代からみられます

愛知県歯科医師会は、愛知県知多郡東浦町の住民などを対象として、口の機能に関する調査研究を行いました。

この調査では、口腔乾燥、咬合力、舌や唇の動き、舌圧、咀嚼機能、飲み込む機能などを検査し、一定の基準に該当した人を「口腔機能低下症」と判定しています。

2021年度の調査では、口腔機能低下症に該当した人の割合は、40代で19.3%、50代で35.1%、60代で37.2%、70代で44.4%、80代で63.9%でした。40代でも、およそ5人に1人が該当していたことになります。¹

口腔機能低下症とオーラルフレイルは、同じものではありません。

オーラルフレイルは、歯の減少や、食べること、話すことに関わる口の機能のわずかな低下が重なり始めた状態を示す概念です。一方、口腔機能低下症は、複数の検査によって口の機能を評価する歯科の診断名です。

ただし、この調査結果からは、噛む、飲み込む、舌や唇を動かすといった口の機能の低下が、高齢になって突然始まるのではなく、40代からすでにみられることが分かります。

口の乾燥や軽いむせは、一時的な体調や服用している薬などによって起こることもあります。しかし、以前にはなかった変化が続いている場合は、「まだ若いから大丈夫」と考えず、口の状態に目を向けることが大切です。

口の機能低下を放置するとどうなるのでしょうか

口の機能低下が進むと、口の中だけでなく、食生活や全身の状態にも影響する可能性があります。

食べられるものが減る

噛む力が低下すると、硬い食品が食べにくくなったり、食事に時間がかかったりするようになります。

その結果、肉や野菜など、しっかり噛む必要がある食品を避け、やわらかい食品に偏ることがあります。

本人は食品を選び直すことで不便を感じにくくなりますが、食べられる食品の種類は少しずつ減っていきます。

栄養が偏りやすくなる

食べられるものが減ると、食事量や栄養のバランスにも影響します。

特に、肉や魚などを食べにくくなると、筋肉の維持に必要なタンパク質が不足しやすくなります。野菜や果物を避けることで、ビタミンやミネラルの摂取量が減ることもあります。

口の機能低下によって食事が偏り、栄養状態が悪化すると、体力や筋力の低下につながる可能性があります。

全身のフレイルにつながる可能性がある

食事量の減少や栄養不足が続くと、全身の筋肉にも影響します。

筋力が低下すると、疲れやすくなる、歩く速度が遅くなる、転びやすくなるなど、日常生活に変化が現れることがあります。

つまり、

噛みにくくなる

食べられる食品が減る

食事量や栄養が不足する

筋力や活動性が低下する

という流れにつながる可能性があります。

ただし、口の機能低下だけで全身のフレイルが決まるわけではありません。病気、運動不足、栄養状態、社会的な孤立など、さまざまな要因が重なって進みます。

むせや飲み込みにくさが増える

口や喉の動きが低下すると、食事中にむせやすくなったり、食べ物を飲み込みにくくなったりすることがあります。

さらに飲み込む機能が低下すると、食べ物や飲み物が誤って気管へ入る「誤嚥」が起こりやすくなります。

ただし、軽いむせがあるだけで誤嚥性肺炎になるわけではありません。むせる回数が増えた、食後に声がかすれる、食事に時間がかかるなどの変化が続く場合は、機能を確認する必要があります。

会話や外出の機会が減る

滑舌が悪くなったり、話しにくさを感じたりすると、人と話すことを避けるようになる場合があります。

会話や外出の機会が減れば、舌や唇を動かす回数も少なくなります。すると、さらに口を使う機会が減るという悪循環につながる可能性があります。

口の機能は、食べることだけでなく、話すことや人との交流にも関係しています。

口の機能低下を予防する5つのポイント

口の機能を守るためには、単に口の体操だけをすればよいわけではありません。

歯や入れ歯の状態、日常の食事、口腔ケア、会話や外出などを含めて考える必要があります。

1.小さな変化に気づく

以前より硬いものが食べにくい、むせることが増えた、口が乾きやすい、話しにくくなったなどの変化がないかを振り返ります。

口の機能低下はゆっくり進むため、自分では気づきにくいことがあります。

定期的な歯科健診では、歯や歯ぐきの状態だけでなく、必要に応じて噛む力、舌や唇の動き、口の乾燥状態などを確認します。

2.噛める状態を保つ

よく噛むためには、噛める歯と安定した噛み合わせが必要です。

歯を失ったままにしている、入れ歯が合っていない、痛みがあるといった状態では、硬い食品を避けるようになります。

無理に硬いものを食べるのではなく、むし歯や歯周病を治療し、入れ歯を調整するなど、自分に合った状態で噛めることが重要です。

3.舌や唇を動かす

舌や唇、頬の動きは、食べることや話すことに関係しています。

発音練習や舌・唇を動かす体操は、口を使う機会を増やす方法の一つです。

ただし、すべての人に同じトレーニングが必要なわけではありません。噛みにくさ、むせ、滑舌の低下など、症状によって確認すべき機能は異なります。

むせや飲み込みにくさが続く場合は、自己判断だけで訓練を行わず、歯科医院や医療機関で相談してください。

4.歯と口を清潔に保つ

むし歯や歯周病によって歯を失うと、噛む機能を保ちにくくなります。

歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシなども使用し、歯と歯の間を含めて清潔に保つことが基本です。

歯科医院で定期的に状態を確認し、自分の口に合った清掃方法について指導を受けることも重要です。

5.会話や外出の機会を保つ

人と話すことは、舌や唇、頬を自然に動かす機会になります。

外出や交流の機会が減ると、会話をする回数も少なくなります。

特別な訓練だけでなく、家族や友人と話す、買い物へ行く、地域の活動に参加するなど、日常生活の中で口を使うことも大切です。

年齢にかかわらず、口の機能にも目を向けましょう

口の機能低下は、高齢になって突然始まるものではありません。

口の乾燥、軽いむせ、噛みにくさ、話しにくさなどの変化を放置すると、食べられる食品が減り、栄養状態、全身の筋力、会話や外出の機会にも影響する可能性があります。

一方で、早い段階で変化に気づき、歯や入れ歯の治療、口腔ケア、必要なトレーニングなどを行うことで、口の機能を維持・改善できる場合があります。

「まだ若いから大丈夫」「年齢だから仕方がない」と決めつけず、以前との違いが続いていないか確認することが大切です。

参考文献

1.一般社団法人愛知県歯科医師会.「口腔機能改善による介護予防の推進」.令和3年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業.2022.

2.Tanaka T, et al. Consensus statement on “Oral frailty” from the Japan Geriatrics Society, the Japanese Society of Gerodontology, and the Japanese Association on Sarcopenia and Frailty. Geriatr Gerontol Int. 2024;24:1111-1119.

3.松尾浩一郎.オーラルフレイル.The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine. 2023;60:885-891.

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