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2026.04.06
お口の健康
健康と病気の境目は、はっきり分けられません

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私たちはよく、「健康」や「病気」という言葉を使います。

しかし、この二つの間に、はっきりとした一本の境界線があるわけではありません。

同じ数値や所見でも、そこに至るまでの経過によって意味が異なることがあります。

例えば、血圧が同じ140mmHgでも、以前は180mmHgだった人が、生活習慣の改善や治療によって140mmHgまで下がった場合と、普段は120mmHg台の人が、その日の緊張やストレスによって一時的に140mmHgになった場合とでは、評価は同じではありません。

反対に、139mmHgであっても、以前より上昇しているのか、その状態が長く続いているのかによって、注意の必要性は変わります。

体の状態は、ある数値を境に突然「健康」から「病気」へ切り替わるものではありません。

大切なのは、目の前の数値だけではなく、そこに至るまでの経過や生活背景も含めて判断することです。

お口の中の状態も同じです。

むし歯も、今の状態だけでは判断できません

むし歯は、ある日突然できるものではありません。

歯の表面では、食事などによってミネラルが溶け出す「脱灰」と、唾液などの働きによってミネラルが戻る「再石灰化」が繰り返されています。

このバランスが崩れ、脱灰が続くことで、少しずつむし歯に向かって進んでいきます。

歯に白い変化や着色が見られたからといって、すべてをすぐに削るわけではありません。

以前より変化が広がっているのか、食生活や歯みがきの改善によって安定しているのかによって、判断は変わります。

同じように見える初期むし歯でも、進行している途中なのか、長期間変化せず安定しているのかでは、その意味が異なります。

そのため、

・変化している場所
・過去の状態との違い
・歯垢の付着状況
・間食や飲み物の習慣
・唾液の量
・フッ化物の使用状況

などを確認し、治療が必要か、経過観察でよいかを判断します。

歯周病も、同じ数値でも意味が異なります

歯周病の検査では、歯周ポケットの深さや出血の有無などを確認します。

しかし、同じ深さの歯周ポケットでも、治療によって以前より改善している場合と、少しずつ悪化している場合とでは、評価は同じではありません。

例えば、以前は8mmだった歯周ポケットが治療後に5mmまで改善した場合と、以前は2mmだった場所が5mmまで深くなった場合では、同じ5mmでも意味が異なります。

一つの数値だけを見るのではなく、

・以前と比べて改善しているか
・悪化しているか
・出血が続いているか
・歯を支える骨に変化があるか
・歯みがきの状態はどうか

といった経過を含めて考える必要があります。

「病気かどうか」だけでなく、変化の方向を見る

歯科では、検査で見つかった小さな変化や一度の数値だけをもとに、病気と判断されることがあります。

しかし、現在の状態だけでは、それが進行している変化なのか、以前から安定している変化なのかは分かりません。

明らかに進行している場合や症状がある場合には、治療が必要です。

一方、軽い変化であれば、日々のケアや生活習慣を見直しながら経過を確認できる場合もあります。

重要なのは、以前と比べて良くなっているのか、悪くなっているのか。その変化が続いているのか、一時的なものなのかを継続的に確認することです。

継続して経過を見ることが大切です

お口の状態を判断するうえでは、継続的な観察も重要です。

短期間に複数の歯科医院を受診すると、その時点の検査結果だけで判断され、過去からの変化が十分に考慮されないことがあります。

同じ歯科医院で経過を確認することで、以前より良くなっているのか、悪化しているのか、その変化が一時的なものなのかを判断しやすくなります。

当院に継続して通院していた方が、別の歯科医院を受診した際に「むし歯がある」と説明され、当院に確認を求められたことがありました。

その歯は、当院でも以前から変化を認めていました。しかし、過去の記録と比較しながら経過を確認したところ、進行はみられず、すぐに削る必要はないと判断していました。

一方、初めて診る歯科医院では、その時点の見た目や検査結果から判断することになります。過去からの変化を確認できなければ、同じ歯でも「治療が必要なむし歯」と判断されることがあります。

これは、どちらかの診断が単純に正しく、どちらかが間違っているという話ではありません。

一時点の状態だけを見るのか、過去からの変化を含めて見るのかによって、判断が変わることがあるということです。

お口の中は、健康と病気の間を動いています

お口の中は、「健康」か「病気」かの二つにはっきり分かれているわけではありません。

健康な状態から少しずつ変化して病気に近づくこともあれば、治療や日々のケアによって、良い状態へ戻っていくこともあります。

そのため、検査結果の数値だけで一喜一憂する必要はありません。

大切なのは、その数値に至るまでの経過と、現在どちらの方向へ変化しているのかを確認することです。

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