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2026.07.24
お口の健康
むし歯はなぜ30年以上も「世界で最も多い疾患」なのか

「むし歯は昔ほど見なくなった」と言われることがあります。

しかし、それは子供のむし歯だけを見た話です。

高齢者の残存歯数が増えた現在、私たちは根面むし歯という新たな課題に直面しています。

むし歯がなくなったのではありません。

むし歯の主戦場が子どもから高齢者へ移ったのです。

日本では8020運動の成果もあり、自分の歯を多く残したまま高齢期を迎える人が増えました。

一方で、露出した根面、口腔乾燥、多剤服用など、根面むし歯のリスクは確実に高まっています。

つまり、日本の歯科医療は「むし歯を克服した」のではなく、「新しいむし歯の時代に入った」と言えるでしょう。

そして世界に目を向けると、さらに大きな現実があります。

世界疾病負担研究(Global Burden of Disease:GBD)2021によると、未処置の永久歯のむし歯は約22.4億人が罹患しており、371の疾患・障害の中で最も有病者数の多い疾患でした。

驚くべきことに、この状況は1990年からほとんど変わっていません。

むし歯は30年以上にわたり、世界で最も多い疾患であり続けているのです。

世界最大の疾患であり続ける理由

この結果を聞くと、「世界全体で砂糖の摂取量が増えているからではないか」と考える人もいるかもしれません。

実際、インドやパキスタンなどの人口大国での消費増加が世界全体を押し上げています。

しかし、アメリカや北欧諸国では必ずしもそうではありません。

むしろ多くの先進国ではフッ化物配合歯磨剤の普及、定期管理、予防歯科の浸透によってむし歯は減少してきました。

それでも世界全体ではむし歯患者数が減らない。

その背景には、人口増加だけでない問題が存在します。

インドとアフリカで何が起きているのか

現在、世界の人口増加を牽引しているのはインドとサハラ以南アフリカです。

これらの地域では以下のような変化が起きています。

・加工食品の普及

・砂糖を含む飲料の増加

・食生活の変化

一方で、以下のような課題が依然として残っています。

・歯科医師数の不足

・歯科医療へのアクセス格差

・フッ化物応用の普及不足

・予防歯科システムの未整備

つまり、「むし歯になりやすい環境」は急速に広がっているのに、「むし歯を予防し管理する仕組み」は十分に整っていないのです。

その結果、むし歯患者数は世界規模で増え続けています。

穴が開いたむし歯は自然には治らない

虫歯にはもう一つ重要な特徴があります。

初期のむし歯では再石灰化が期待できる場合もありますが、穴があいたむし歯は自然には治癒しません。

そのため未処置のむし歯は患者数が蓄積しやすく、世界の疾病ランキングで常に上位に位置し続ける構造があります。

日本と北欧は成功例である

一方、日本や北欧諸国は、予防歯科の普及によってむし歯を減らすことに成功した代表例です。

スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークなどでは、フッ化物利用、リスク評価に基づく管理、定期的な予防プログラムが長年にわたり実践されてきました。

日本でも学校歯科保健、フッ化物配合歯磨剤の普及、定期管理の浸透により、子供のむし歯は大幅に減少しました。

北欧諸国やアメリカにも菓子文化があります。

日本にもあります。

それでもむし歯は減少してきました。

それは甘いものを食べなくなったからではありません。

フッ化物の活用、定期的なメインテナンス、リスクに応じた予防管理によってむし歯をコントロールできるようになったからです。

日本は「次のむし歯の時代」に入った

日本でも、もはや子どもの虫歯はコントロールできる時代になりました。

しかし、虫歯そのものを克服したわけではありません。

日本は世界に先駆けて超高齢社会を迎えています。

8020運動の成果により、多くの高齢者が自分の歯を保ったまま人生を送れるようになりました。

その一方で、新たな課題として根面むし歯が増加しています。

これまでの歯科医療は「歯を残すこと」を目標としてきました。

しかしこれからは、「残った歯をどう守るか」が問われる時代です。

世界では未処置う蝕が依然として22億人を超える最大の疾患です。

しかし日本では、その担い手が子どもから高齢者へと移りながら、私たちの前に現れています。

それが、これからの日本の歯科医療が向き合うべき課題といえるでしょう。

参考文献

1)Global Burden of Disease Collaborative Network. Global Burden of Disease Study 2021.

2)Peres MA, Macpherson LMD, Weyant RJ, et al. Oral diseases: a global public health challenge. Lancet. 2019;394:249-260.

3)Watt RG, Daly B, Allison P, et al. Ending the neglect of global oral health: time for radical action. Lancet. 2019;394:261-272.

4)World Health Organization. Reducing consumption of sugar-sweetened beverages to reduce the risk of unhealthy weight gain in adults. WHO, 2023.

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駐車場あり 川崎市宮前区神木1-5-2

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