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2026.06.29
お口の健康
お菓子職人・パティシエはむし歯になりやすい?仕事を続けながら歯を守る方法

ケーキや和菓子、お菓子を作る仕事では、味見は欠かせません。

しかし、その一方で菓子職人やパティシエ、お菓子メーカーの開発・品質管理担当者は、一般の方よりもむし歯リスクが高くなりやすい職業です。¹²

しかし、味見は仕事の一部であり、避けることはできません。

大切なのは、味見をしながらも、むし歯になりにくい口の環境を整えることです。

毎日のちょっとした工夫を積み重ねることで、仕事を続けながら、むし歯リスクを大きく減らすことができます。


むし歯の原因は「甘い物の量」ではなく「味見の回数」

「甘い物をたくさん食べるからむし歯になる」と思われがちですが、実は重要なのは口の中が何度も酸性になる回数です。¹²

お菓子には砂糖などの糖分が多く含まれています。

味見をするたびに、口の中の細菌はその糖をエサにして酸を作ります。¹

その酸によって歯の表面が少しずつ溶け始めます。これは歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラルが失われる現象で、「脱灰」と呼ばれます。¹

この状態が何度も繰り返されると、やがてむし歯へと進行していきます。¹


味見はダラダラ続けず、できるだけまとめる

例えば、**「午前中の30〜60分」「午後の30〜60分」**など、味見の時間をあらかじめ決めて集中的に行うことをおすすめします。

ダラダラと何時間も味見を続けるより、歯が酸にさらされる回数を減らすことができ、再石灰化する時間も確保しやすくなります。¹²


味見後は20秒以上ブクブクうがい

味見のたびに歯を磨くことは現実的ではありません。

また、甘い物や酸味の強い食品を口にした直後は、歯の表面が一時的に軟らかくなっていることがあります。

ケーキや洋菓子には、砂糖だけでなく、フルーツやレモン汁など酸性の材料が使われることも少なくありません。

**このような状態ですぐに強く歯を磨くと、軟らかくなった歯の表面が摩耗しやすくなり、酸蝕症の進行につながる可能性があります。**⁸

そのためおすすめなのが、40〜50℃程度のぬるま湯で20秒以上ブクブクうがいすることです。

うがいが数秒だけでは、歯と歯の間や歯の表面に残った糖や酸が十分に洗い流されません。また、口全体に水が行き渡る前に終わってしまいます。

20秒ほどかけてブクブクうがいをすることで、口の中全体をしっかりすすぐことができます。

冷たい水でも十分効果は期待できますが、ぬるま湯は口の中への刺激が少なく、唾液の分泌を促しやすいと考えられています。

唾液には、酸を中和し、歯の再石灰化を助ける働きがあり、自浄作用も担っています。そのため、唾液の分泌が促されれば、むし歯のリスクをさらに下げることが期待できます。


フッ素入り歯みがき剤は1日3回がおすすめ

一般の方では1450ppmフッ素入り歯みがき剤を1日2回使用することで、高いむし歯予防効果が得られます。³

一方、お菓子職人のように糖に触れる機会が多い方では、

  • 昼休みまたは仕事の区切り
  • 就寝前

1日3回使用することで、さらに予防効果が期待できます。⁴

仕事柄むし歯リスクが高い方ほど、フッ素を積極的に活用することが大切です。


フッ素洗口もおすすめ

さらに予防効果を高めたい方には、毎日のフッ素洗口もおすすめです。

**就寝前に1450ppmフッ素入り歯みがき剤で歯を磨いた後、フッ素洗口を行うことで、就寝中も歯にフッ素が作用しやすくなります。**³

当院では、450ppmのフッ素洗口液を毎日使用する方法をおすすめしています。

菓子職人やパティシエのように糖に触れる機会が多い方では、フッ素入り歯みがき剤とフッ素洗口を組み合わせることで、より効果的なむし歯予防が期待できます。³


菓子職人に定期検診をおすすめする理由

菓子職人やパティシエは、仕事柄どうしても糖に触れる機会が多く、一般の方よりむし歯リスクが高くなりやすい職業です。¹²

そのため、3〜4か月ごとの定期検診をおすすめします。

定期検診では、

  • むし歯や歯周病の早期発見
  • 歯石やバイオフィルムの除去
  • 必要に応じたフッ化物塗布
  • ブラッシングやフッ素の使い方の確認
  • 初期むし歯や酸蝕症のチェック

などを行い、仕事に支障が出る前にトラブルを防ぎ、味覚や咀嚼機能を良い状態に保つことにつながります。³⁹

歯は、菓子職人にとって毎日使う大切な仕事道具です。

製菓機械を定期的にメンテナンスするように、歯も定期的なメンテナンスが欠かせません。


歯を守ることは、味を守ること

菓子職人やパティシエにとって、歯は「食べるため」のものではありません。

味や食感を正確に評価するための、大切な仕事道具です。

歯を失うと、味覚そのものが直接障害されるわけではありません。

しかし、味を感じる力は低下しやすくなります。⁵⁻⁷

その理由として、

咀嚼能力が低下する
食べ物が十分に砕かれず、味物質が唾液に溶け出しにくくなります。⁵

唾液分泌が減少しやすい
唾液は味物質を味蕾へ運ぶ役割があるため、味を感じにくくなります。⁵

歯根膜の感覚が失われる
天然歯ならではの歯ごたえや食感の情報が減り、「おいしさ」の感じ方にも影響します。⁶

義歯では天然歯ほど咀嚼効率が高くありません
特に総義歯では、味や食感の評価が低下することが報告されています。⁵⁻⁶

味見は仕事に欠かせません。だからこそ、毎日のセルフケアに加え、3〜4か月ごとの定期検診を受け、仕事道具である歯を守ることが大切です。

歯を守ることは、味を守ること。

それは、菓子職人として長く第一線で活躍するための大切な自己投資です。


参考文献

  1. Stephan RM. Changes in hydrogen-ion concentration on tooth surfaces and in carious lesions. J Am Dent Assoc. 1940.
  2. Moynihan PJ, Kelly SA. Effect on Caries of Restricting Sugars Intake: Systematic Review to Inform WHO Guidelines. J Dent Res. 2014.
  3. Walsh T, et al. Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019.
  4. Feldens CA, et al. Association between toothbrushing frequency with fluoride toothpaste and long-term dental caries. 2024.
  5. Ikebe K, et al. Association of masticatory performance with taste perception and oral function.
  6. Miura H, et al. Tooth loss, mastication and oral health-related quality of life.
  7. Fejerskov O, Nyvad B, Kidd E. Dental Caries: The Disease and Its Clinical Management. 4th ed.
  8. Lussi A, Carvalho TS. The future of fluorides and other protective agents in erosion prevention. Caries Res. 2015.

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駐車場あり 川崎市宮前区神木1-5-2

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