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歯が0本の高齢女性は、20本以上ある女性と比べて、股関節骨折のリスクが約1.3倍。
あなたの歯の本数は、今いくつですか?
最近、75歳以上の高齢者を対象とした日本の大規模研究で、高齢女性では歯の本数が少ない方で股関節骨折のリスクが高い傾向が報告されました。⑴
股関節骨折は、高齢の方にとって寝たきりや介護が必要になるきっかけにもなりやすい重要な病気です。
今回は、歯と骨折の関係について、患者さん向けにわかりやすくご紹介します。

歯の本数が少ない女性では、股関節骨折リスクが高い傾向
この研究では、75歳以上の高齢者を対象に、歯の本数と股関節骨折の発症リスクを調べています。
特に女性では、歯が21〜28本ある方と比べて、歯の本数が少ない方で股関節骨折のリスクが高い傾向がみられました。
具体的には、女性では次のような結果でした。
| 歯の本数 | 股関節骨折リスク |
|---|---|
| 21〜28本 | 基準 |
| 16〜20本 | 約1.20倍 |
| 11〜15本 | 約1.18倍 |
| 6〜10本 | 約1.16倍 |
| 1〜5本 | 約1.18倍 |
| 0本 | 約1.28倍 |
歯が0本の女性では、歯が21本以上残っている女性と比べて、股関節骨折リスクが約1.3倍高い
ことが示されました。
一方で、男性では、はっきりした関連は確認されませんでした。
股関節骨折にはさまざまな要因が関係しますが、その代表的なものの一つが骨粗しょう症です。
骨粗しょう症は骨がもろくなり、わずかな転倒でも骨折しやすくなる病気です。特に女性では閉経後に骨量が減少しやすいため、骨粗しょう症を発症しやすいことが知られています。
実際、骨粗しょう症は女性に多く、世界的には50歳以上で女性約21%、男性約6%と報告されています。⑵⑶
男性で同じ傾向がみられなかった理由は明らかではありませんが、今回の研究で女性にのみこの傾向がみられた背景の一つとして、こうした骨粗しょう症の男女差が関係しているかもしれません。
ただし、その理由についてはまだ十分にわかっておらず、今後の研究が待たれます。
なぜ歯が少ないと骨折リスクが上がるの?
考えられる理由として
- 噛む力の低下による栄養状態の悪化
- 筋力低下による転倒リスクの増加
- 骨粗しょう症などの全身的な要因
が関係している可能性があります。
歯が少なくなると、しっかり噛むことが難しくなります。
その結果、食べられるものが限られ、たんぱく質やカルシウムなど、骨や筋肉の健康に欠かせない栄養素が不足しやすくなる可能性があります。
骨粗しょう症予防には、カルシウムだけでなく、タンパク質やビタミンD、ビタミンCなどをバランスよく摂ることが重要です。しかし、歯の本数が減ったり噛む力が低下したりすると、小魚や肉類、繊維の多い野菜などを食べにくく感じることがあります。
その結果、骨や筋肉の健康維持に必要な栄養素が不足しやすくなる可能性があります。

骨粗しょう症予防のための食事内容に目が向きがちですが、それらの食品を無理なく食べられる口腔環境を維持することも同じくらい重要です。
また、高齢の方では転倒が股関節骨折の大きな原因です。歯の本数や咀嚼機能の低下は身体機能の低下との関連も報告されており、転倒リスクに影響する可能性が指摘されています。⑷⑸
つまり、歯を失うことは単に「食べにくい」だけでなく、栄養状態の悪化や転倒リスクの増加にも関係している可能性があるのです。
歯を守ることは、健康寿命を延ばすこと
もちろん、歯を残せば必ず骨折を防げるというわけではありません。
しかし、栄養面の観点からも、むし歯や歯周病を予防し、しっかり噛んで食事ができるお口を保つことは、全身の健康につながると考えられます。
特に高齢女性では、骨粗しょう症や筋力低下、転倒リスクなども関係しやすく、お口の健康を維持することの大切さを改めて考えさせられる研究結果といえるでしょう。
股関節骨折予防とお口の健康のために
今回の研究では、歯の本数が少ない高齢女性で股関節骨折のリスクが高い傾向がみられました。
もちろん骨折には骨粗しょう症や筋力低下、転倒などさまざまな要因が関係します。
しかし、お口の健康もその一つかもしれません。
しっかり噛んで食事を楽しみ、必要な栄養を摂ることは、健康な体づくりにつながります。
そのためにも、むし歯や歯周病を予防し、できるだけ自分の歯を維持していくことが大切です。
参考文献
⑴Nunzawa S, Yoshida M, Takahashi K, et al. Association between the Number of Teeth and Hip Fracture Risk in Older Adults Aged 75 Years and Older: A Population-Based Cohort Study. Journal of Epidemiology. 2025;35(8):404-412.
⑵ International Osteoporosis Foundation (IOF). Epidemiology of osteoporosis and fragility fractures.
⑶ Kanis JA, et al. A reference standard for the description of osteoporosis. Bone. 2008;42:467-475
⑷ 東京都健康長寿医療センター研究所. 高齢期における口腔機能の重要性―オーラルフレイルの観点から.
⑸ Yokoyama H, Kitano Y. Oral Frailty as a Risk Factor for Fall Incidents among Community-Dwelling People. Geriatrics. 2024;9(2):54.







