ブログ・お知らせ
お子さんの歯を見て、
「歯が黄色や茶色に変色している」
「歯の表面がぼそぼそしている」
「歯が欠けやすい」
と気になったことはありませんか。
このような症状は、エナメル質形成不全が原因で起こることがあります。
エナメル質形成不全は珍しい病気ではなく、日本の子どもの**約10〜20%**に認められるという報告もあります。
早めに発見し、適切に管理することで、むし歯や歯の破折、知覚過敏を予防できる可能性があります。
エナメル質形成不全とは
エナメル質形成不全とは、歯の一番外側を覆っているエナメル質が十分に作られなかった状態です。
正常なエナメル質は人体で最も硬い組織ですが、形成不全がある歯ではエナメル質が薄かったり、十分に硬くなっていなかったりします。
そのため、健康な歯よりも欠けやすく、むし歯や知覚過敏を起こしやすくなります。

このような症状がみられます
エナメル質形成不全では、次のような症状がみられることがあります。
- 黄色や茶色に変色している
- 歯の表面がぼそぼそ・ざらざらしている
- エナメル質が欠けやすい
- 冷たいものがしみる
これらの症状は初期のむし歯と見分けが難しいこともあるため、気になる場合は歯科医院で診断を受けることをおすすめします。

原因はまだ完全には分かっていません
現在のところ、エナメル質形成不全の原因は一つではなく、完全には解明されていません。
関係すると考えられているものには、
- 遺伝的要因
- 歯が作られる時期の高熱や感染症
- 栄養状態
- 妊娠中や出生時のさまざまな要因
などがあります。
エナメル質形成不全は、歯が作られる胎児期から乳幼児期の限られた時期に生じるため、現在の生活習慣で改善したり元に戻したりすることはできません。
そのため、早期に発見し、適切な予防管理や治療を継続することが大切です。
エナメル質形成不全で起こりやすいこと
形成不全がある歯では、次のような問題が起こりやすくなります。
- むし歯になりやすい
- 冷たいものがしみやすい(知覚過敏)
- 歯が欠けやすい
- 咬む力で摩耗しやすい
- 前歯では変色が目立ち、見た目が気になることがある
特に、生えたばかりの永久歯では注意が必要です。
治療は症状に合わせて行います
エナメル質形成不全の治療は、症状の程度や気になっている内容に応じて選択します。
症状が軽度の場合
エナメル質の変色や表面の異常が軽度で、歯が欠けていない場合は、歯をできるだけ削らずに予防管理を行います。
主な治療・予防方法は、
- 適切な歯みがき
- フッ素入り歯みがき剤の使用
- フッ素塗布
- シーラント
- 歯面コート材
などです。
これらにより、むし歯や知覚過敏の予防を行います。
シーラントについてはこちら
フッ素の効果についてはこちら
知覚過敏がある場合
エナメル質形成不全では、エナメル質が薄かったり欠けやすかったりするため、**冷たい飲み物やアイスクリームなどで歯がしみる(知覚過敏)**症状がみられることがあります。
知覚過敏がある場合は、知覚過敏用歯みがき剤を毎日継続して使用することで、症状の軽減が期待できます。
また、高濃度のフッ素を歯の表面に塗ることで、歯質の強化や知覚過敏の軽減が期待できます。
当院では、症状に応じて高濃度フッ素を歯の表面に塗る処置(フッ化物バーニッシュ)を短い間隔で行い、知覚過敏の軽減や歯質の保護を図っています。
知覚過敏についてはこちら
前歯の見た目が気になる場合
前歯では、変色や形の異常が目立つことで、見た目を気にされることがあります。
そのような場合には、**レジン(白い詰め物)**を用いて色や形を整え、見た目を改善する治療を行うことがあります。
できるだけ歯を削らずに修復することを基本としています。
歯が大きく欠けている場合
歯が大きく欠け、噛むたびに壊れやすい場合には、歯を保護するためにクラウン(被せ物)による治療を行うことがあります。
成長期のお子さんでは、歯や顎の成長を考慮し、歯を削る量をできるだけ少なくすることが重要です。
そのため当院では、症例に応じて**既製金属冠(既製の金属の被せ物)**を選択しています。
既製金属冠は、歯を削る量をエナメル質内にとどめられることが多く、大切な歯質をできるだけ残せるという利点があります。
一方、CAD/CAM冠やセラミッククラウンは、歯を削る量が多くなり、象牙質まで削る必要がある場合があります。
そのため成長期では基本的に第一選択とはしていません。
歯や顎の成長が落ち着くまでは、できるだけ歯を保存することを優先し、暫間的な修復処置を行います。
最終的なセラミックなどによる修復は、20歳前後以降に検討することが望ましいと考えています。

家庭でできること
エナメル質形成不全の歯は、健康な歯に比べてむし歯になりやすく、欠けやすいという特徴があります。そのため、毎日のセルフケアと定期的な歯科管理がとても重要です。
家庭では、次のようなことを心がけましょう。
・気になる変色や欠けを見つけたら早めに受診する
・フッ素入り歯みがき剤を使用する
・甘い飲み物やお菓子をだらだら摂らない
・定期的に歯の状態を確認する
このような場合は歯科医院へご相談ください
次のような症状がある場合は、一度歯科医院で診察を受けることをおすすめします。
- 歯が黄色や茶色に変色している
- 歯の表面がぼそぼそ・ざらざらしている
- 歯が欠けやすい
- 冷たいものがしみる
- 前歯の見た目が気になる
永久歯が生え始める6〜8歳頃は、エナメル質形成不全が見つかることが多い時期です。気になる症状があれば、早めの受診をおすすめします。
参考文献
- William V, et al. Contemporary Clinical Management of Molar Incisor Hypomineralization (MIH): A Narrative Review. J Clin Med. 2024;13(23):7154.
- Elhennawy K, et al. Clinical management of molar-incisor hypomineralisation: A systematic review. Eur Arch Paediatr Dent. 2021.
- Hjertberg E, Hajdarević A, Jälevik B. Desensitization treatment in MIH-affected teeth: A systematic review. Eur Arch Paediatr Dent. 2024.
- Hu ML, Zheng G, Zhang YD, et al. Desensitizing toothpaste versus placebo for dentin hypersensitivity: A systematic review and meta-analysis. J Clin Periodontol. 2014;41(3):203-213.
- 急増するエナメル質形成不全の最新知見. 歯界展望. Vol.136 No.6, 2020.







