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2026.08.17
お口の健康
若くして歯周病になった人ほど、早期対応が重要です

36歳以下の歯周病患者を約10年間追跡した研究から分かったこと

「歯周病は中高年の病気」と思われがちですが、実際には若い世代でも注意が必要です。

厚生労働省の「令和6年歯科疾患実態調査」では、6mm以上の深い歯周ポケットを有する人の割合が、35歳頃から増加することが報告されています。深い歯周ポケットは、歯周病が進行している可能性を示す所見の一つです。

歯周病は、初期には痛みなどの自覚症状が少なく、気付かないうちに進行していることも少なくありません。

今回は、36歳以下の歯周病患者446人を約10年間追跡した研究をもとに、若年者の歯周病と歯の喪失について分かったことを解説します。

若い歯周病患者を約10年間追跡した研究

36歳以下で歯周炎と診断された446人を9〜11年間追跡し、診断時の歯周病の重症度や広がり、喫煙の有無、治療の継続状況、教育歴や収入などと、その後の歯の喪失との関係が分析されました。

若い世代の歯周病を長期間にわたって追跡した報告は少なく、歯を失いやすかった人の特徴を考えるうえで参考になる研究です。

研究の結果、多くの患者は歯を維持していた

約10年間に歯周病が原因と判断されて失われた歯は、1人あたり平均1.3本でした。

多くの患者では、歯を失っていないか、失ったとしても3本以下にとどまっていました。

一方で、最も多い人では26本を失っており、診断時の病状やその後の治療経過によって、結果には大きな差がありました。

歯を失いやすかった人の特徴

研究で歯の喪失と関係していた主な要因は、次のとおりです。

  • 歯周病が口の中の広い範囲に及んでいた
  • 歯周病の重症度が高かった
  • 喫煙していた
  • 歯周病治療を途中で中断していた
  • 教育歴が短かった

歯周病が広い範囲に及んでいた人や、重症度の高い「ステージIV」に分類された人では、その後に失った歯の本数が多い傾向が認められました。

※ステージIVは、歯を支える組織の破壊が進み、歯の動揺やかみ合わせの問題などを伴うこともある重症段階です。若年者でも、このように歯周病が重度に進行することがあります。

また、この研究では、喫煙も歯の喪失と関係していました。喫煙は歯周病の進行や治療後の経過に影響するため、禁煙も対策の一つになります。

治療の中断が歯の喪失と関係していた

今回の研究で特に注目したいのが、歯周病治療を中断した人では、その後の歯の喪失が多かったという点です。

歯周病治療は、歯垢や歯石を取り除いて炎症を改善したあとも、再び悪化していないかを定期的に確認していく必要があります。

歯ぐきの腫れや出血が落ち着いても、歯周病になりやすい状態そのものが完全になくなるとは限りません。自宅での歯みがきや定期的な管理が不十分になると、再び進行することがあるからです。

定期的な管理では、歯周ポケットの深さや出血の有無、歯垢や歯石の付着状況などを確認し、自覚症状のない段階で変化を見つけ、必要な対応を行います。

治療後の管理を中断すると、再発や進行に気付く機会を失い、歯の喪失につながる可能性があります。今回の研究でも、治療を中断した人ほど、その後に失った歯の本数が多い傾向が認められました。

治療を続けにくくなるのはなぜ?

この研究では、歯周病治療を中断した人の背景についても調べられています。

その結果、歯周病の重症度だけでなく、教育歴や収入などの社会的な要因も、治療の中断と関係していました。

治療を中断する理由は、本人の意識だけの問題ではありません。20〜30代は、就職や結婚、出産、育児、転勤などによって生活環境が大きく変わりやすく、仕事の忙しさや治療費の負担から通院が難しくなることがあります。そのなかで、自覚症状の少ない歯周病の治療は、後回しにされやすくなります。

しかし、通院を中断しても歯周病の進行が止まるとは限りません。

自覚症状がないまま進行し、数年後に歯が揺れたり、かみにくくなったりしてから再び受診することもあります。その時点では、歯を残すために行える治療が限られてしまう場合があります。

歯を守るためには、治療を始めるだけでなく、仕事や家庭の状況に合わせて、無理なく通院を続けられる方法を考えることが重要です。

早めの受診と治療の継続が将来の歯を守る

今回の研究では、診断時に歯周病が進行していた人ほど、その後に失った歯の本数が多い傾向が認められました。また、治療を中断した人でも歯の喪失が多く、治療を継続することの重要性が示されました。

次のような症状や背景がある人は、早めに歯科医院で検査を受け、必要な治療や定期的な管理を続けることが大切です。

  • 歯みがきのときに歯ぐきから出血する
  • 歯ぐきが腫れることがある
  • 口臭が気になる
  • 歯ぐきが下がってきた
  • 歯が長くなったように見える
  • 歯が少し動く
  • しばらく歯科検診を受けていない
  • 家族に若くして歯周病になった人がいる
  • 喫煙している
  • 糖尿病がある、または血糖値が高いと指摘されている

※糖尿病は今回の研究の主な解析項目ではありませんが、糖尿病や高血糖は歯周病の進行と関係することが知られているため、受診の目安として挙げています。

過去に歯周病を指摘されたものの、仕事や家庭の事情で治療を中断している人も少なくありません。

通院が途切れていたとしても、現在の状態を確認し、必要な治療を再開することはできます。

歯ぐきの出血や腫れが気になる人、過去に歯周病を指摘されたままになっている人は、一度歯科医院で状態を確認してもらいましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省.令和6年歯科疾患実態調査.
  2. Modin C, et al. Factors influencing tooth loss over 9–11 years in young individuals with periodontitis. J Periodontol. 2026;97(2):207-219.

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