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赤ちゃんの乳歯は、生まれてから作られるわけではありません。
乳歯の形成は、お母さんのおなかの中にいる時期から始まります。一部の永久歯も胎児期に作られ始めるため、妊娠中の栄養状態は、赤ちゃんの歯や骨の正常な発育にも関係します。
ただし、「この食品を食べれば赤ちゃんの歯が丈夫になる」という特別な食べ物があるわけではありません。
赤ちゃんの歯の形成に関わる主な栄養素
赤ちゃんの歯の形成には、タンパク質、カルシウム、リン、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンCなど、さまざまな栄養素が関わります。特定の食品だけを多く摂ればよいわけではなく、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、野菜、果物などいろいろな食品を組み合わせて、無理のない範囲でバランスよく食べることが基本です。
※歯の発育に関わる主な栄養素と食品の例を下の図にまとめました。

葉酸は赤ちゃんの正常な発育を支える栄養素です
葉酸はビタミンB群の一種で、細胞の増殖やDNAの合成、赤血球の形成に関わります。
赤ちゃんの歯を直接強くする栄養素ではありませんが、胎児全体の正常な発育を支えるために重要で、特に妊娠初期に葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなることが知られています。²
また、口の中の粘膜は細胞の入れ替わりが速いため、その維持にも葉酸が関わります。葉酸が著しく不足すると、舌炎や口内炎、口腔粘膜の萎縮などが現れることがあります。
ただし、口内炎にはさまざまな原因があります。症状が繰り返す場合や長く続く場合は、葉酸不足と自己判断せず、歯科や医科で原因を確認することが大切です。
妊娠を計画している女性や妊娠初期の妊婦には、通常の食事に加えて、サプリメントや葉酸添加食品などから葉酸を摂取することが推奨されています。具体的な摂取量や使用方法については、産婦人科の医師や管理栄養士に相談しましょう。
食事からは、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、豆類、果物などから摂取できます。
鉄分も意識しましょう
妊娠中は、お母さんの血液量が増え、胎児や胎盤にも鉄が必要になるため、鉄分が不足しやすくなります。¹
鉄分は、赤身の肉や魚などに含まれる「ヘム鉄」と、大豆製品や野菜などに含まれる「非ヘム鉄」に分けられます。
非ヘム鉄は、ビタミンCを含む野菜や果物と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。¹
鉄は、酸素を全身へ運ぶヘモグロビンの材料です。抜歯後の傷や炎症を起こした歯ぐきが治る際には、新しい組織を作る細胞が働くために十分な酸素が必要です。
鉄欠乏性貧血によって組織への酸素供給が低下すると、口腔粘膜の維持や修復に影響し、舌の痛みや口角炎、粘膜の蒼白などが現れることもあります。

そのため、鉄分の不足を防ぐことは、お口の組織が正常に保たれ、傷が治るための環境を整えるうえでも重要です。
妊娠中にフッ化物を摂れば、赤ちゃんの歯は丈夫になる?
フッ化物には、歯質を強くし、むし歯になりにくくする働きがあります。
ただし、妊娠中にフッ化物を多く摂っても、生まれてくる赤ちゃんの歯が特別に丈夫になるとは確認されていません。フッ化物のむし歯予防効果は、体内に取り込まれて歯を作ることよりも、歯が生えた後に歯の表面へ繰り返し作用し、歯の修復を助けたり、酸に溶けにくくしたりする働きが中心だからです。
妊娠中にフッ化物の錠剤などを摂取した研究でも、生まれた子どもの乳歯のむし歯が減るという明確な効果は認められていません。⁵

一方で、妊娠中のお母さん自身のむし歯予防には、フッ化物配合歯みがき剤の使用が重要です。つわりによって歯みがきが十分にできない時期や、間食回数が増える時期には、むし歯のリスクも高くなるため、体調に合わせて使用しましょう。³ ⁴
赤ちゃんのむし歯予防では、生まれた後に、年齢に応じてフッ化物配合歯みがき剤を適切に使用することが大切です。
参考文献
- 厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2025年版).
- 三戸夏子.葉酸とサプリメント―神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果.e-ヘルスネット.厚生労働省.
- American Dental Association. Pregnancy and oral health. J Am Dent Assoc. 2021.
- American Dental Association. Pregnancy. Oral Health Topics.
- Takahashi R, Ota E, Hoshi K, et al. Fluoride supplementation during pregnancy for preventing dental caries in the primary teeth of children. Cochrane Database Syst Rev. 2017;10:CD011850.
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