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むし歯予防の知識があっても、それが毎日の行動につながらなければ、十分な効果は期待できません。
定期的に検査やクリーニングを受けることも重要ですが、歯科医院でのメンテナンスは30分から1時間ほど。お口の状態を実際につくっているのは、その何百倍もの時間を占める日々の過ごし方です。
だからこそ問われるのは、何を知っているかではなく、予防行動を歯科医院の外で過ごす生活の中に組み込み、無理なく続けられているかということです。
プロフェッショナルケアだけでは、むし歯予防は完結しません
歯科医院で行う専門的なクリーニングには、自分では取り除きにくい歯垢や着色を除去し、磨き残しやすい場所やお口の変化を確認する役割があります。
しかし、むし歯は、歯垢を一度取り除けば防げる病気ではありません。
歯科医院できれいにした後も、歯垢は毎日の生活の中で再び形成されます。さらに、砂糖を含む飲食物を口にするたび、歯の表面からミネラルが溶け出す「脱灰」が起こります。
歯科医院で短時間行うプロフェッショナルケア(PMTCなど)は、日々の食生活を整えることや、フッ化物を継続して使用することの代わりにはなりません。
実際、複数の研究をまとめた報告では、フッ化物配合歯みがき剤を毎日使用することで、むし歯の発生が抑えられることが確認されています。
必要なのは、歯科医院でケアを受けるだけでなく、フッ化物配合歯みがき剤を毎日使うなどの予防行動を、日々の習慣として定着させること。
歯科医院でお口の状態を確認し、日常では歯みがきやフッ化物の使用、砂糖を含む飲食物の摂り方を整える。この両方を組み合わせることで、むし歯予防の効果を高めることができます。
知っていることと、続けられることは違います
歯みがきが大切であることや、砂糖を含む飲食物の摂り方に注意が必要なことは、多くの方が知っています。

それでも、仕事や家事で疲れている日、生活時間が乱れた日、体調がすぐれない日には、分かっていても実行できないことがあります。
予防を長く続けるために必要なのは、意志の強さだけではありません。無理なく実行できる形に整え、特別な努力ではなく、毎日の生活習慣の中に組み込むことが重要です。
また、進学、就職、転職、出産、介護、服薬、体調の変化などによって、食事や歯みがきの時間も変わっていきます。以前は問題なく続けられていた方法が、現在の生活には合わなくなることもあるでしょう。


予防習慣は、一度決めたら終わりというものではありません。完璧な方法を一時的に行うより、その時々の生活に合わせて見直し、無理なく続けられる形を選ぶことが大切です。
歯医者は、予防を習慣に変えるサポート役
歯科医院では、むし歯の有無だけでなく、磨き残しやすい場所や、以前からの変化を確認します。
そのうえで、一人ひとりのお口の状態や生活背景を踏まえ、どのような予防行動なら無理なく続けられるかを一緒に考えます。
大切なのは、正しい方法を伝えるだけではありません。
歯みがきやフッ化物の使用、砂糖を含む飲食物の摂り方などを、その人の生活の中で実行しやすい形に整え、日常の習慣として定着させることです。
歯科医院が患者さんに代わって、毎日の予防を行うことはできません。
歯科医院の役割は、予防行動を生活の中で続けられる形に整えること。
実際にお口の状態を支える主役は、毎日の生活の中で繰り返される自分自身の習慣にほかなりません。
参考文献
Walsh T, Worthington HV, Glenny AM, Marinho VCC, Jeroncic A. Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2019;3:CD007868. doi:10.1002/14651858.CD007868.pub3.
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