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実は“人によって違う”って知っていますか?

「歯みがきは1回3分しましょう」
一度は聞いたことがありますよね。
厚生労働省が実施している「歯科疾患実態調査」では、歯みがき回数は「1日2回」という人が最も多いとされています。⑴
また、実際の平均ブラッシング時間は約45秒という報告もあります。⑵
一般的には、毎食後に3分程度の歯みがきが推奨されており、28本(親知らずを含めると32本)の歯の汚れを落とすには、最低でも3分程度は必要とも言われています。
しかし実際には、全員に“3分”が正解というわけではありません。

歯みがき時間は、人によって違います
最近の予防歯科では、
- お口の状態
- 歯の本数や歯並び
- 被せ物や入れ歯の有無
- 虫歯・歯周病リスク
- プラークの付きやすさ
- 磨き方
によって、必要なブラッシング時間は変わると考えられています。。
大切なのは「時間」より「汚れが落ちているか」
歯周病予防で大切なのは、歯ぐきのまわりのプラーク(細菌のかたまり)をしっかり落とすことです。
短時間でも丁寧に磨ける人もいれば、時間をかけないと磨き残しが多い人もいます。
例えば、
- 歯が多く残っている方
- 歯並びが複雑な方
- 歯周ポケットが深い方
- 被せ物やブリッジが多い方
- 部分入れ歯の鉤歯がある方
では、より丁寧な清掃が必要になります。
特に鉤歯(こうし)は、入れ歯のバネがかかることで汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高くなるため、ブラッシングに時間がかかることがあります。
プラークの“ネバつき”でも変わります
プラークには、
- 落としやすいもの
- ネバついて落としにくいもの
があります。
特に、砂糖(ショ糖)を多く摂る食生活では、細菌が“ネバネバ成分(不溶性グルカン)”を作りやすくなります。
このネバネバ成分によって、プラークは歯に強く付着しやすくなり、歯みがきで落とすのに時間がかかる場合があります。⑶
甘い飲み物や間食が多い方では、より丁寧なブラッシングが必要になることもあります。

虫歯予防では「フッ素」も重要です
虫歯予防では、歯みがきで汚れを落とすことに加えて、歯を守る環境を作ることも大切です。
そこで重要になるのが、フッ化物(フッ素)配合の歯みがき粉です。
研究では、
- 30秒より
- 2〜3分しっかり磨いたほうが
お口の中にフッ素が残りやすいことが分かっています。⑷
丁寧に時間をかけて磨くことで、歯の表面にフッ素が行き渡りやすくなり、虫歯予防効果を高めることにつながります。

歯みがき粉は「使い方」も大切
歯みがき粉は、「汚れを落とす」だけではなく、虫歯や歯周病の予防を助ける役割もあります。
フッ化物配合の歯みがき粉は、歯を強くして虫歯を予防する効果があります。
また、歯周病予防では、歯ぐきの近くまでしっかりブラシを当てて、プラークを除去することが大切です。
大切なのは、
- 適切な量を使う
- 丁寧に磨く
- 毎日続ける
ことです。

フッ素入り歯みがき粉を使った後は、すすぎすぎない
フッ化物配合の歯みがき粉を使った後に何度もうがいをすると、せっかくのフッ化物が流れやすくなります。
そのため、虫歯予防の観点では、少ない水で軽く1回すすぐ程度が推奨されています。
ただし、これは「フッ素入り歯みがき粉を使った場合」の話です。
長く磨けばいいわけではありません
「丁寧に磨くこと」は大切ですが、必要以上に長時間ブラッシングすると、歯や歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。
強い力で長時間磨き続けると、
- 歯ぐきが下がる
- 歯が削れる
- 知覚過敏が起こる
など、“オーバーブラッシング”の原因になることがあります。
特に、「ながら磨き」は注意が必要です。
スマホを見ながら、テレビを見ながらの歯みがきは、無意識に同じ場所を長時間こすってしまい、歯ぐきを傷つけていることがあります。
「長く磨くこと」ではなく、
「適切な力で、必要な場所をきちんと磨くこと」
が大切です。
「3分」はあくまで目安
実際には、
- お子さん
- 矯正中の方
- 歯周病がある方
- 磨き残しが多い方
では必要な時間は変わります。
特に歯周病治療中の方では、5〜10分ほどかけて丁寧に磨くことも珍しくありません。
逆に、磨き方が上手な人なら、短時間でもきれいに磨けることがあります。
まとめ
「3分磨けば安心」ではなく、
- 自分のお口に合った磨き方
- 汚れをしっかり落とせているか
- フッ化物を活かせているか
- 適切な力で磨けているか
が大切です。
毎日の歯みがきは、“時間”より“質”を意識してみましょう。
参考文献
- 厚生労働省
令和4年 歯科疾患実態調査.
歯みがき回数は「1日2回」が最も多いと報告。
- Ritz HL.
Microbial population shifts in developing human dental plaque.
Arch Oral Biol. 1967;12(12):1561-1568.
プラーク形成と口腔細菌叢の変化、歯周病との関連を示した研究。
- Creeth JE, et al.
The effect of brushing time and dentifrice on dental plaque removal in vivo.
J Dent Hyg. 2009;83(3):111-116.
実際の平均ブラッシング時間は約45秒とされ、ブラッシング時間が長いほどプラーク除去率が向上すると報告。
- Bowen WH, Koo H.
Biology of Streptococcus mutans-Derived Glucosyltransferases: Role in Extracellular Matrix Formation of Cariogenic Biofilms.
Caries Res. 2011;45(1):69-86.
ショ糖から作られる不溶性グルカンが、プラークの粘着性と歯面付着性を高めることを報告。
- Zero DT, et al.
The effect of brushing time and dentifrice quantity on fluoride delivery in vivo and enamel surface microhardness in situ.
Caries Res. 2010;44(2):90-100.
ブラッシング時間が長いほど、フッ化物保持量が増加することを報告。







